矢山利彦コラム

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「死について考えないと本当の生をまっとうできない」と聞いたのは・・

ヒーリングへの道しるべ  2009年2月 『ほろとろぴっく通心』より
「死について考えないと本当の生をまっとうできない」と聞いたのは・・

「死について考えないと本当の生をまっとうできない」と聞いたのは大学に入って間もない頃でした。ある先輩に勧められて、日本の文化をもっと深く知る勉強会に出席した時、講演された国文学の教授が語られた言葉でした。

青春のころは「死」は概念としてはあっても切実な思考の対象とはなりにくいものです。しかし、その時以来「死」について考えるようになりました。

大きく言えば死に方の研究を始めたことになります。最初に出会った理想的死に方は山岡鉄舟の例でした。
山岡鉄舟は幕末の剣の達人ですが、それだけではなく1868年、戊辰戦争の際に勝海舟と西郷隆盛の会談への道を開いて、江戸城無血開城が実現したことで有名です。

維新後、明治天皇の侍従となりました。鉄舟は、胃癌で死を悟ったとき、弟子一同に最後の稽古をつけたそうです。このときの話が伝わっていますが、鉄舟は、自分が病気で弱っているなど遠慮しないで本気でかかってくるように言い、弟子たちも最後の教えを受けるつもりで全力で向かっていったそうですが、このとき鉄舟はそれまでも強かったのですがさらに比較できないほど強く、高弟も全く歯がたたなかったそうです。
稽古が終って鉄舟は風呂に入り、その後座禅した状態で最期を迎えたそうです。

この死に方を知ったとき、身も心も震えるほど感動しました。そして男子たるもの死ぬときはこうでありたいと思い始めたのでした。

しかし、死の直前に武的な力が最高に達するとはいったいどういうことでしょう。医学を学んだものとして論理的に納得することはそのころは全くできませんでした。

鉄舟は剣の修行と同時に禅の修行も深く行なっています。剣術家は数えきれないほど存在していましたが、鉄舟の死に方の秘密は、禅を深く修行したことに由来するのではなかろうかと考えたのでした。

では剣と禅を修行するとなぜそのような死に方ができるのでしょうか。

(つづく)

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