矢山利彦コラム

HOME > 矢山利彦コラム > いのちと気② 2013年1月

いのちと気② 2013年1月

(前回のつづき)

 人間は言葉をあやつり、平和な日常の中で生活していると自分が動物であることを忘れています。しかし何か生命や自分の大切にしている対象に危機が生じた時にこの動物である部分が働き始めます。この時の生体の反応がストレスと言われるものです。

 このストレスにも日常よくある不快と感じられるレベルから、本当に生命が脅かされるレベルまでありますがその本能はアドレナリン、ノルアドレナリンというストレスホルモン(正確には神経伝達物質)と言われる物質が体に生産されることです。これらは交感神経を刺激して心臓機能の亢進、末梢血管収縮、血圧上昇、肝臓、筋肉にたくわえられていたグリコーゲンを分解して血糖値を上げるなどの働きがあります。

 このような反応は「闘争か逃走」(ファイト・オア・フライト)反応と呼ばれています。人間がまだ文明の中で生活していない時はこの「闘争か逃走」を表に出して生きていたのですが、現代ではストレスを感じても、言葉を使って対応することがほとんどで、体を使っての「闘争か逃走」を行うことはほとんどありません。そうするとアドレナリン、ノルアドレナリンは使われずに体に残ることになります。そしてストレスホルモンの効果が続くことになります。これが五つの病因論として私がいつも説いている内なる病因の正体です。そしてストレスホルモンが働き続けると免疫機能が低下していることもわかっています。

 ではどうしたらよいのでしょうか。私の今までの研究では大きく二つの方法がありそうです。
 その一つは聖人になってストレスを感じないストレスホルモンが体に出ない人間になること。これはなかなか難しいが不可能ではないようです。後で述べていきましょう。
二つ目は、ストレスホルモンを体の中で使って洗い流すことです。これにまた二つの方法があります。一つは体を動かして汗を出すこと。つまり「闘争か逃走」すれば汗が出るのと同じ生理的反応を起こすことになります。もう一つは芸術的喜びを感じることです。これはセロトニン、ドーパミン、エンドルフィン、GABAといった快感ホルモン(正確には神経伝達物質)を脳そして体に生み出して、ストレスホルモンを中和消去してくれます。

 人は運動趣味と芸術趣味を持つと健康で上手に生きられるようになっているようです。患者さんにそう話すと、先生は何をされていますかと問われます。芸術は書道をしています。運動は以前は空手をやっていましたが今は合気道をしていますと答えています。

(続く)


ショッピングサイトへ ページの先頭に戻る